陽は、また昇る



群雄割拠の戦国乱世にあるの傭兵集団。紀州三大鉄砲衆のひとつ、薄荷衆である。
雑賀・根来に比べてまだ若い、この里にも、鉄砲集団として運命とも言える、最大の危機が迫っていた。
魔王・織田信長の侵攻である。

その戦にひとりの女が居た。彼女は若くして軍団長にまで上り詰めた強き武士である。名を、と言った。
そしてもうひとり、戦国の世に名を轟かす男が居た。天下御免の傾奇者、前田慶次である。
二人が相見えたその時、赤い悪魔が降臨した……

ひとつ、またひとつと大切なものが消えていくなか、
義とは何か
愛とは何か
理想と現実の違いに苦しみながら、それでも夢を忘れなかった、猛き武士達の志をとくと御覧ぜよ。



あらすじ(反転)

第一章 邂逅――薄荷攻め
魔王光臨。紀州の小さな鉄砲衆の里、「薄荷」に黒い陰が忍び寄る。
玉砕覚悟の決死の戦いに、軍団長の姿もあった。
織田軍の猛攻、女のの前に現れたのは、前田慶次。男は、戦いの中で、ある一つの結論に辿り着く。
――「死なせたくない」、と。
だが非情にも、赤い悪魔が静かに迫っていた。
第二章 紀州国友――本能寺の変
今の薄荷の姿に、心を揺るがされた男が二人。
一人は上杉家当主、上杉景勝。彼は家臣の直江兼続に、涙ながらに謝った。
困惑する兼続に、景勝は薄荷衆の端緒を話し始める。
そしてもう一人は雑賀孫市。消えた雑賀衆の頭領である。男はまだあの悪夢から覚めてはいなかった。
その頃、慶次に助けられたは、同じ運命を辿った真田幸村と、互いに涙していた…
第三章 継承者――山崎合戦
目覚めた雑賀衆棟梁・孫市が引き金を引き、政局は一転、光秀と秀吉の戦いへともつれ込んだ。
仇討を果たした孫市が、秀吉に相見える前に、伝えなくてはいけないことがある。
そう言って、新薄荷衆棟梁・は秀吉の元へ駆け出した。
妹を探す兼続は、その影を追い、ある人物に出会う。
全てが繋がるのは、天王山の麓、山崎。