昼下がりのあたたかな時間。朝とは打って変わってひとのすくない電車に乗る。今日は授業がすくないから、ゆったりと帰宅だ。私と同じような大学生もちらほらいる。昼間の陽射しが眩しい。座席に座り、転寝をしながら、ぼんやり幸せな気分に浸る。




射影







戻ってきて。


文字どおり、ただそれだけの意味しかない。別に彼と付き合っていたとか、特別仲が良かったとかは全く何もない。ただ一緒にやろうって言われたことがただ単純に嬉しくて、言われるがままにもどってきた。正直誰でも良かったのかもしれない。でも声を掛けてくれたことが嬉しかった。
そしたらどうだろう、これほどにあの日々に飢えていて、恋にも飢えていたなんて。
私の手帳には毎日、たくさんの予定が詰まっていて幸せだ。
忙しいし、ブランクを埋めるのに必死だけど、それもまた楽しい。



淋しかったのか。



しみじみとそう思い気づいた。
たくさんのひとがいる大学で、誰とも心から打ち解けられなかった。勿論ともだちはいる。でもそれは軽いつながりしかなかった。もっと大切な何かが欠落している。そんな気がずっとしていた。

答えはすきという気持ちだった。
何も燃えなかった。一年間、必死に自分と周りとのつながりを探した。でも見つからなかった。


――おかえり。
私の同期はみなそう言って私を迎えてくれた。
懐かしい。
ああ、私はやっぱりここから離れられないのだと思った。
じんと響くその言葉に、いっぱい泣きそうになるのを堪えて。

いつか言えるようになったら、「だいすき」って伝えるから、それまであのひとは待っていてくれるだろうか。
その背中を、まだ私に見せていてくれるだろうか。



ふっと目をあければ、電車は降りる駅に着こうとしていた。
私はすこし満ち足りた気分で、席を立つ。











20100720 短いわ駄文だわほんますみません