寒い日が続いている。ここ佐和山は勿論だ。だって山だもん。佐和山城は山城、山の上に建っている城である。
そりゃあ寒いよね。(いま5回「山」って言った)
夜も寒くて眠れないから、あんかみたいなのを借りて寝ているのだけど、今日は客人が来ているのでその方のところへ行っている。
ああ、私のあんかちゃん… 貴方がいないと眠れないの…!

ぶるぶる震えながら、布団の中で寝返りを打つ。
上手く眠れないのでもう一回寝返りを打つ。以下エンドレス。
仕舞いには「さむいー」「さーむ」とぶつぶつ呟く。本当に寒いんだもん。

「…、」
「ああ、ごめんね、柳、起こした?」


…ちなみに左近さんの余計なお節介のせいで、私と柳の部屋は同じである。



「…そんなに寒いのか」
「見ての通り眠っていません」

ごろんと柳の方を向いて、またさむいさむいって言ってやる。


「そうだ、囲炉裏に火ィ点けて…」
「一酸化炭素中毒で死ぬ気か!お前は俺を殺す気か!」
「あ、そうだね、ごめんなさい」

しょぼーんである。我ながら良い案だと思ったのに、である。言い争っててもあったかくはならない。
起こしてごめん、おやすみ、と柳に背を向けて布団の中で縮こまる。
ぶつぶつ言うといけないから我慢して、一生懸命寝ようとした。

ぞわっ。

背中に冷気を感じた。むぎゃー!寒いのよ!誰だ、扉開けたのは!と思ったら背中があったかくなった。
足先に触れるのは、紛れも無く血の通った誰かの足先。



「…成程。たしかに冷え切っていてこれじゃ眠れないだろうな」
「やなぎ?!」

振り向いて確認したら(三成さんかもしれない、いや三成さんは私に絶対こんな事しないか)、柳にこっちおいで、と甘い声を出される。
えええ!と戸惑っていると柳は私のほっぺたに手を伸ばした。

「顔も冷たい」

そうしてするりと手は腰に回る。

「…女が腰を冷やしてはいけないな」
「な…!」

そのまま頭をよしよしと撫でられて、いつも一人にしておいてすまない、と囁かれた。
何だかちょっとだけ柳に甘えたくなって、そっと目を閉じると、私の身体に回る腕がきつくなった。耳たぶをすこし甘噛みされる。



結局私は柳になされるがまま、その腕の中で眠る事になるのだった。











未完成恋愛


















20100218 柳の糖度が常に高いですよね、やっぱりそう思います?